Works 110

多摩丘陵に位置する、緑豊かな立地に建築された一戸建て住宅。
道路に面したL字の外構部分のご提案をさせて頂きました。
建築工事で、駐車場・門扉など基本的なゾーニングは決まっていました。
L字の外構スペースは「庭を兼ねたアプローチ部分」・「駐車場」・「離れたもう一つの庭的なスペース」・「道路に面した犬走りとしては少し広めのスペース」で構成され、前面の道路は小中学生の通学路になる環境でした。
それぞれのスペースの役割を整理し、プライベートなスペースとパブリックなスペース、それぞれをどう繋げていくかを大事に計画を進めました。
「庭を兼ねたアプローチ部分」は、掃き出し窓に面しているため、道路からの適度な目隠しフェンスとボリュームの出る植物で構成し、プラベートなスペースとして設計。
それに対し、「道路に面した犬走りとしては少し広めのスペース」は、植栽に加え、既存ブロックの土留で道路に対して1段上がっている事を利用し、ベンチデッキを設置する事で、地域に開かれたパブリックなスペースとしました。
犬走りとして捉え、プライベートなスペースにしようとすると使用用途がかなり限定的になりますが、地域に開く事で実際のスペース以上に開かれた空間となりました。
このプライベートなスペースとパブリックなスペースをウッドデッキで繋ぎ、回遊性のある構成としています。
「駐車場」を挟んだ「離れたもう一つの庭的なスペース」は、今後ご自身で作っていく菜園スペースです。初期の工事内容としては、軽めのフェンスの設置と果樹を中心に収穫が出来る植物を植える程度に抑え、将来的な庭の楽しみの余白として残してあります。玄関から直接アクセスできるように植栽の配置で動線は確保するようにしています。
家というとてもプライベートなものに地域に開かれたパブリックな要素を加える事で、お施主さんの気持ちや姿勢が反映され、スペースの広さ以上にとても豊かな空間になったと思います。
ベンチにランドセルを置いて、学校帰りの友達と遊ぶお子さんの姿やお休みの日に家の周りで遊ぶお子さんをベンチに座って見守る親御さんの姿が想像され、とても温かいお施主さんらしい外構計画ができたかなと感じております。
設計:木名瀬佳世建築研究室
写真:安田誠(一部のみ)



- Date:
- 2023
- Area:
- 30m2
- Type:
- 新築戸建