Essay

雑草を分解して見る01

日常の中でいつも通る道。いつもの風景は変わり映えのない気がして、ついつい目的のために通り過ぎるだけものになりがちです。
見慣れているが故に分かったような気になっているものも、視点を変えてみると意外と知らないことだらけだったりして、改めて着目して見てみると、背景には様々なストーリーがあり、妙に新鮮に興味を惹かれるようになったりするものです。

誰が意図するわけでもなく道端に生えている草も、雑草ということで終わらせてしまえば気にも留めない日常の背景の片隅だったり、手間の掛かる疎ましい存在だったりします。
でも、少し視点を変えて見てみると、枯草の隙間から出る緑の新芽や、控えめだがきれいな花、おもしろい形の実等、変化に富んでいて趣深いものにも見えてきます。

昭和天皇に纏わる話題で’雑草という名前の草はない’という言葉は有名ですが、四季のある日本では、道端の雑草も個性豊かで様々な植物が、何かの役割を持ち出番を待っているかのように日々入れ替わり、思い思いの表情を見せます。

そんな植物に着目することで、季節を感じたり、好奇心を刺激されたり、日常のちょっとした出来事にも俳句に季語を入れるように彩を添えてくれたり、生活を豊かにする種がたくさん得られます。

そんな可能性を秘めた雑草。
試しに季節につき一つでも雑草の名前を憶えておいて、日常の風景の中からその草を探してみてはいかがでしょうか。

春の雑草

オオイヌノフグリ
Veronica persica Poir.

人の手で背の高い冬の枯れ草が刈り取られたような空き地、春の兆しが見え隠れし始めるころ都市部の生活のすぐそばにある風景が、この瑠璃色花によって花畑に変わります。

ヒメオドリコソウ
Lamium perpureum L.

まだ霜が降りるようなま時期から身を寄せ合うように群生している姿を見かけます。てっぺん付近の葉が紫色を帯びる姿が、何やら帽子をかぶっているように見えて可愛らしいです。
かぶさるように重なってゆく葉も相まって、踊り子名がついていますが、僕はアンデス地方のポンチョを着た人に見えてきてしまいます。

シンバラリア (ツタバウンラン)
Cymbalaria muralis

まだ寒さの厳しい早春から石垣や土留めなどに緑を這わせ、薄紫の小柄な花を開きます。
この花を道端で見かけた記憶を思い返すと、いつも冬の中休みで春を思わせるような暖かな日だったような気がします。
陽気のおかげで歩く足にも周りを見渡す余裕が生まれるせいでしょうか。

ホトケノザ
Lamium amplexicaule

まだ寒さの残る時期、まだ背の高い植物の少ない空き地のような開けた場所や、道路際のい日の当たりやすい所など、
見通しの良いところに生えるので紫の花が小ぶりながらよく目に付きます。

カラスノエンドウ
Vicia angustifolia

丸い葉が対象に並び柔らかく伸びる茎は、先端部がくるりと巻く蔓状となり、動きに富んだ形が何やら遊び心を感じさせます。
そんなささやかに伝わってくる活発さが、時期柄厳しい寒さが綻んでくるイメージと重なり、微笑ましく感じられます。