Garden

“旗竿地”を上手に活用して植物と暮らす。

東京都内の閑静な住宅街に家を建てて2年経つという、フォトグラファーの森脇さんご夫婦。〈BROCANTE〉のオーナーである松田さんとは、お子さんの保育園が一緒という縁で植物の話をするようになり、家の外構造園の相談もするように。そんな森脇さんにとって「植物と触れ合うひととき」は、オンとオフの切り替えスイッチに欠かせないものになっているようです。

ご自宅にある最もシンボリックなグリーンといえば、旗竿地(公道に接する出入口部分が細い通路上の敷地になっていて、その奥に家の敷地がある形状の土地)に植えられているもの。モルタルの外壁には、シンプルモダンなグラフィックの表札が施されており、そのエントランスを抜けると、玄関までの細長い脇道に20種類以上の植物が植えられています。

「“旗竿地”に植物を植えられたことは、自分的にとても有意義なことでした。都内の住宅は家が道路に面している場合、人目を気にして自由に窓を開けづらいところがあるじゃないですか。自分自身、そんな環境に身を置いているので、バルコニーを作ってプランターで植物を育てるよりも、旗竿地を有効活用するのがベストだと思いました。ここは僕にとって、ある意味“ベランダ”のような感覚です」

実際に植える植物はオーナーの松田さんと一緒に見に行き、相談しながら選んだという。

オーストラリアの植物のルックスに惹かれて。

「僕が感覚的に気になったものを松田さんにお伝えすると、それは『グレビレア』というオーストラリアの植物ですよ、と丁寧に教えてくれました。見に行って自分が『これ、いいな〜』って呟いたものは、大体『グレビレア』なことが多くて(笑)。だから、外の植栽では、オーストラリア生まれの植物をいろいろと植えています。既視感のないちょっと変わったルックスの植物が多くて、魅力的。部屋の中では、外で植えているオーストラリア原産の常緑低木の『ウエストリンギア』を剪定して、花器に生けています」

旗竿地には、シルバーリーフが美しいシルバーティーツリーや稲穂のようなルックスのタニカというグラスツリー。ミモザやユーカリ、ジャスミンやブルーベリーなどたくさんの植物が植えられている。

家の中で植物やオブジェを飾るコーナーは奥さんの担当。森脇さんの作品、古道具とともにグリーンをディスプレイしているコーナーは、ひときわ清々しい空気を放っている。

日々、そんな環境で暮らすお子さんも影響を受けたのか、学校の工作の時間に粘土で植物用の器を作ってきたそう。多肉植物をガラス瓶に移し替え、窓辺にちょこんと飾っている。その手作りの素朴な質感に心が和む幸せな風景だ。

さらにお話を伺うと、2匹の猫と暮らす森脇家にはこんな珍事件もあった。あるときを境に家の中で育てている「エバーフレッシュ」が急に枯れ始め、森脇さんは不思議に思っていたそう。猫が動く気配を感じ、その動きをじっと観察していたら、「エバーフレッシュ」の木に登っておしっこしていたという。

「猫のおしっこはすごい酸性が強くて、それで枯れてしまったみたいです。ウッドチップを撒いたり、ココナッツの藁で囲ったりしていろいろと対処しました。それでも猫がおしっこをしてしまうのでもう塞ぐしかないな、と。DIYが得意な義父に頼んで、植物を囲う円形の木材を作ってもらうことにしました」

そんな風に、猫と植物が共生できるように何かしらの対策を考えることも、森脇さんのグリーンライフに欠かせないことだ。

「『エバーフレッシュ』は昼には葉を広げ、夜になると閉じるという面白い変化を楽しむことができる植物で昔から大好きなんです。前の家で小さいサイズを2つ枯らしてしまったので、この家ではそれよりも大きなサイズを育てたいと思って迎え入れました。だから、猫対策を頑張りながら大事に育てていきたいと思っています」

お話をお伺いしている間、夜の帳が下りてきた頃、森脇さんは「エントランスの夜の風景も気に入っているんです」と教えてくれた。

夕方になると電飾が灯り、エントランスに植えられた植物もほのかにライトアップされるという。

「家に入るときに必ずこの竿地を通るので、それだけで全然気持ちが違う気がします。ちょっとした小径を歩いている感じも楽しいし、帰ったときに隆々と育っているワイルドな植物の葉が体にパサッと当たるのがなんだか好き。日々の生活の中で植物や土をいじる時間は、無になれる大切な時間です」

photo / Takeshi Abe, text / Seika Yajima