植物からいただく、香りの楽しみ -Herb water Maker-
植物を育てる、とよく言いますが、育てるなんて言い方、少々おこがましいなと思うくらい、植物から “いただくもの” って本当に多いなと思います。
「香り」もそのひとつ。花や葉の香りで癒されたり、リフレッシュできたり、気分や気持ちに変化をもたらしてくれる、とてもありがたいものです。
そんな香りを市販品で楽しむのも良いですが、自らの手で、自宅の庭にある植物の香りを芳香蒸留水として抽出できる『ハーブウォーターメーカー』という器具があると知り、これはぜひ試してみたいと、さっそく使ってみました。
待っている時間は長いはずなのに、なんだか楽しい
ハーブウォーターメーカーは、耐熱ガラスの底に植物の葉や花を入れてキャンドルで温め、その蒸気を氷で冷やして芳香蒸留水を作れるという類い稀なアイテム。こんなことが手軽にできること自体、私は初めて知りました。
自分の好きな植物の葉や花を摘んできて、ハーブウォーターメーカーの本体底に入れてお湯を注ぎ、フラスコと氷をセット。最後にキャンドルに火を点けたら、あとは待つのみ。
1回でだいたい覚えられるくらい手順は簡単です。レモンマートルの葉で試した際の動画もあるので、参考にしてみていただければと思います。
ハンドクリームやルームフレグランスなどで、ここ数年ずっとゼラニウム系の香りが大好きなので、今回はローズゼラニウムを摘んでセットしてみました。
実際に使ってみて思ったのは、時折氷がとけて「カラン」と音がすると、ちょっと嬉しくて思わず微笑んでしまったり、小さなキャンドルの灯りをぼんやり眺めていると無心になれたり、待っている時間は長いはずなのに、なんだか楽しい、ということです。
実験結果を待つようなワクワク感がある一方で、ポタッ、ポタッと1滴ずつ蒸留水がたまっていく様子が、自然の景色を眺めているときのような心の静けさをもたらしてくれる感覚もありました。合間に仕事をしていても、こころなしかゆとりがあったり。
キャンドルの火が消えるまでは3~4時間くらいです。消えるまで待ってもよし、氷がとけてある程度蒸留水が溜まったら火を消してもよし。
フラスコにできあがった芳香蒸留水を取り出してみると、ほんのり甘くも、すっきりとした良い香り。天然のものらしい凛とした香りです。そのまま香るだけでなく、入浴料にしたり、ルームスプレーにするのもおすすめです。私は持ち歩ける小さめのアトマイザーに入れ替えて、仕事中のリフレッシュスプレーとして使っています。
こんな楽しみ方もできる植物って、すごい
自宅の庭やベランダで育てている植物の葉や花を摘んで、その香りを抽出した蒸留水を自分で作って楽しめるなんて、ハーブウォーターメーカーの存在を知るまでは考えもしませんでしたが、植物の楽しみ方をまた新たに1つ教わった気がします。
選ぶ植物によって様々な香りが楽しめますし、市販品だと他に色々な香りやエキスが混じっていたりもするので、植物と水だけというシンプルな香りが、自分がイメージしていた植物の香りとはちょっと違ったりもして新鮮です。
植物を隅々まで活かす、と言ったらまたおこがましいですが、こんな楽しみ方もできる植物ってすごい、とあらためて感じました。
好きな植物を選んで摘む楽しみ、抽出されるのを楽しみに待つ時間、出来あがった芳香蒸留水の香りを楽しむとき。これらすべての楽しみを味わえる豊かな時間もまた、植物からの"いただきもの"なのかもしれません。