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雑味の無い水差しを求めて 根岸産業’銅製水差し’  Seeding model

今、世界中の園芸ファンから脚光を浴びる東京下町の町工場があります。
墨田区の根岸産業は3代続く園芸如雨露専門メーカーで、日本の寺社仏閣建築で培われた初代の板金技術をベースに、盆栽用の如雨露制作を始め、2代目、3代目と盆栽家という美意識の猛者たちを相手に改良を重ねて作り上げられて来た銅製如雨露(ジョーロ)は、日本はもとより世界でもそのクオリティが認められ、今では世界中から注文が殺到する逸品となっています。

そんな根岸産業さんにてSeedingオリジナル形状の水差しを制作していただきました。

使いやすさに素直な形

室内の植物を水やりする道具の中で、まず一番の主要なアイテムとなる水差し。

しかしながら今まで使用していたものは、どれも明確に不満を感じるわけではないが、どこか微妙な使い辛さを感じるものでした。
それは無意識に感じている雑味のようなもので、気にしなければ「そういうもの」で済ましてしまえるようなものでしたが、仕事柄もっと良いものはないものかと数々探しているうち、自分の中でも「こういう形だったらいいのに」というおぼろげなイメージが出来てきていた時でした。
ネットで画像検索している際にふと「これだ!」と目に留まった水差し。

それが根岸産業さんの水差しでした。

その形は手元から細く遠くに伸びる口。
そのことで、葉の茂る部分や棘のあるような植物の株元にも容易に口を近づけ水を注ぐことができます。

さらに根岸産業さんの水差しの口は、根元から先へ向かうにつれて細くなってゆくテーパーと独特のカーブがかけらた形状になっており、水流が水の量や手の角度の影響を受けづらく一定に保たれ、ごく自然な感覚で狙ったところへ安定した水流が注がれるようになっています。
抜群の注ぎやすさがあり、これはもう感動でした。

室内の水やりをするのに密かに感じていた、注ぎ口から思わぬ水の出方で部屋を濡らしてしまう緊張感もグッと少なくなります。

そんな、ただでさえ優れた水差しですが、Seedingでも是非扱わせていただくことが出来ればと根岸産業さんへコンタクトをとったところ、どうせならオリジナルの形をつくりませんか?と根岸さんより思わぬうれしいご提案を頂き、今回の水差しが誕生しました。

Seedingオリジナルの形状では、盆栽のように人の腰胸あたりの高さで管理をする鉢植えだけでなく、Seedingでも多く扱うハンギングのような高いところに据えた植物や、大振りの鉢で床に置いて管理している植物などでも潅水しやすいように、下から掴んで持ち上げるような持ち方や、上からぶら下げるような持ち方にも対応できるような取手の形状にしていただきました。

そしていくつも鉢を育てている愛好家さんにも使いやすいように容量を標準の物よりも多めにしていただいています。

多忙な中でも何回もの試作をしてくださり、細かな調整にも応じてくださる姿勢は、常にモノづくりの可能性を探求し、より高みを目指す真摯なものを感じ、根岸さんが今の評価を受ける所以を垣間見たようにも思います。

その他にも金属の見た目からは意外ともいえる軽さや銅製による殺菌作用、修理も対応していただけるので一生ものであることなど魅力を語れば暇がありませんが、語りすぎるのも野暮かと思います。

ここは是非お手にって実感してみて下さい。

Author

kensuke-watanabe

BROCANTEのガーデンプランナー。 ''Seeding''ディレクター