美人は得をする。

オオアラセイトウ

桜の花などよりも少し早めの時期に、ふんわりとした紫色の花を咲かせます。
柔らかな野性味を感じさせながらも、しっかりとした華やかさもあり、群生する姿もけばけばしくなることもなくよく映えますが、ぽつぽつと咲く姿もこれはこれでよいものです。
背丈もあるので緑のボリュームもあり、この花が咲くと春らしさがグッと増します。

こぼれ種でよく増え、落葉樹の木そば等、冬の間は適度に日向になるようなところで群生している姿をよく見かけます。

中国原産のアブラナの仲間で、中国では諸葛孔明との所縁があるとも言われ’諸葛菜’という名呼ばれています、そのまま日本でも直訳的に′ショカツサイ’という名も広く使われています。
日本へは江戸時代に渡来して栽培されていたりしたようですが、太平洋戦争後に中国からの帰国者が種を持ち帰り、それを機に急速に広まったといわれています。

花の形が大根の花に似ていることから、俗称的にハナダイコンとも呼ばれます。
特に大根のように根が肥大するということは無く、根は食用にもされませんが、若葉は食用にされます。

2月頃になると、園芸店などでもこの花のポット苗が出回ります。
春の先取り感もあり人気がありますが、庭に植えると、やはり人の意図する場所とは好みがなかなか合わないのか、あまり群生的に増える事がなく、その代わり翌年は思いもよらぬところから生えてきたりと、雑草的な気まぐれな自由を謳歌させるが節があります。

それでも、きれいで勿体ないからと除草されるという事を免れている場面を度々見かけます。
柳宗民氏著’柳宗民の雑草ノオト’においてもこの花に触れ「美人は得をする」と述べられている一節がありますが、苦笑いながらも大いに頷けるとろこではあります。

kensuke-watanabe

Data

植物名
オオアラセイトウ
学名
Orychophragmus violaceus
他の名前・俗称
ハナダイコンムラサキハナナショカツサイ
区分
1年草
参考サイズ
30㎝

里山の谷地に群生している。(東京都西部、4月上旬)
里山の谷地に群生している。(東京都西部、4月上旬)
見晴らしの良い傾斜地、落葉樹の樹冠下に群生する(東京都西部、4月上旬)
販売用のポット物も出回る(園芸卸売店、2月下旬)

Orychophragmus violaceus

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植物図鑑について

お庭と生活のお話をさせていただく上で、パートナーともいえる植物たちの事を、私たちなりに感じるそれぞれの良さや、付き合う上で知っておくとよさそうなこと等、観察の記録的な情報も交えながら紹介しています。

題名(植物名)
日本において一般的に用いられている名称です。他にも一般的な名称や俗称、学名の読み音の違いなどある場合は別途記載してます。
キャッチフレーズ
植物の名前は一回聞いて音では認識できてもどういうものか想像しずらいものが多いです。故に覚えずらくもあります。そこで、私たちなりにこの植物を表現する言葉を出来るだけ多くの人がイメージしやすいものと結び付けてあらわそうと試みています。昔の洋楽についていた邦題のような感じで、時には恥ずかしくなるようなダサさも漂いそうですが、何はともあれ興味を持っていただくきっかけとなれば良しと思っています。
学名
植物の中には呼び名が様々あったり、名称が重なったりするものがあるので、誤解を避けるため、どの植物を指しているかの基準とするため記載しています。
区分
東京近辺で見受けられる傾向として、季節によって葉がなくなるか無くならないか大まかな傾向を表記しています。なので学術的な表記とは異なり、あくまでも実用上の目安とするための独自の情報とご理解いただければと思います。
参考サイズ
植栽をしたときに、植物の魅力を感じられる又は剪定を行いながら無理なく管理できるお勧めのサイズ感を表記しています。