丁寧な暮らしの香り
ウメ
言わずと知れた、桜と並ぶ日本の代表的な花木。
花もさることながら、実の利用も梅干しや梅酒などで生活に溶け込み、様々な形で親しまれています。
まだ寒さの厳しい時期に花を咲かせ、漂う芳香と共に春の訪れを感じさせてくれます。
梅の実が熟すころの長雨を”梅雨”と呼び、春夏秋冬の四季と並び季節の様子を表す言葉として定着している程に私たちの生活との密接な関係が築かれています。
個人的には、大昔に通った小学校の校歌が「白梅かお~る~」と始まっていたことも思い出されるところです。
原産は中国と言われ、日本へ渡来後に多くの品種が作出され、その数は400種以上にも登ります。
代表的なものとしては和歌山県で多く栽培される果実用品種「南高(南高梅)」が最高級とされ、その名を耳にされることも多いのではないでしょうか?
英名で’japanese apricot'とも呼ばれ、中学生の頃の英語では”plum”と習ったような記憶があるものの、正確にはプラムはスモモの事を指すため、
スモモよりもアンズに近いウメはアプリコット(アンズ)によって表現される方がより適切と言えそうです。
現在栽培されている品種には、アンズとの交配によって生まれた系統のものも多く存在しています。
庭木としては、万葉集の頃から昭和の中期までは多くのお庭に植えられ、今も残るものは動きに富んだ枝ぶりで趣深い樹形のものが多いです。
バブル期以降に普及した洋風の趣のいわゆるガーデニングでは、新たに植えられる事はめっきり少なくなってしまっているところではありますが、
ごく最近では盆栽で見られるような枝の動きを活かした躍動感のある樹形が新鮮に受け止められる傾向があったり、
日常生活において、かつて日本の家庭で営まれていた暮らしぶりを”丁寧な暮らし”と見直す機運もあり、梅酒や梅シロップ、梅干しなどを仕込む「梅仕事」を季節慣習として自らの手で楽しむ人も多かったりと、
今の世相との馴染みも戻りつつあるので、庭木としても見直されてよさそうな気もします。
庭木として用いる際の注意点としては、春先の新芽につくアブラムシと幹につくタマカタカイガラムシがあります。どちらも風通しが悪くなるとつきやすく、気づくと大発生しているという事があります。多少ついても実には大きく影響はないのですが、見た目も悪くなるので、発見したら枝ごと切除したり、カイガラムシはブラシなどで擦り落とすと良いです。
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Data
- 植物名
- ウメ
- 学名
- prunus mume
- 他の名前・俗称
- japanese apricot(英名)
- 区分
- 落葉
- 参考サイズ
- 2~5m