滋味深き実りの木

ナツメ

遠い昔に中国から渡来した、秋に赤い実をつける落葉樹。
その実はリンゴのような味がして、とても美味。

葉は明るいライムグリーンで少し光沢があり全体的に明るい印象。
夏の日を透かして木漏れ日を落とす姿がとてもきれいです。

樹皮には深く皺が寄り、樹形も真っ直ぐすぎず暴れすぎず、程よく動きのある姿が何とも言えない趣を醸し出します。

そんなところが玄人ウケするのか、BROCANTEの事務所にも植えてあるこの木ですが、同業の方が事務所にいらっしゃった際に「ナツメかっこいいですね!」と褒められることも多いです。

メンテナンスとしては基本的には年に1~2回程度伸びすぎたら剪定するくらいですが、成長速度も比較的緩やかで、4~5m位の高さで無理なく管理できる感じです。
そして実も毎年たくさんつけてくれます。

この実がとても甘く、風味もリンゴのようなさわやかさでとても美味しいのです。
青いうちは甘みが少ないですが、ジューシーな青りんごのさわやかな風味で、赤く熟すと水気が抜けパリッとした歯ごたえになり、りんご飴のような濃厚な甘みが出てきます。

近所のおじさんが、昔はよく庭先に植わっていて、子供に人気のおやつだったということを教えてくれました。

文献によると、その糖度は30%前後あり、万葉集にも登場するほど渡来は古く、平安時代以降菓子として利用されるようになり、明治までは庭先果樹としてメジャーな存在だったようです。

また、漢方でも、薬効を引き出す処理をして乾燥させた実は大棗という生薬として扱われ、胃腸の調子を整え、血を補う効果があるといわれています。
1日3個食べると老いが来ないなどともといわれるほど滋養効果が高いとされています。

見た目もよく、手間もかからず、おいしくて体にいい実がたくさん取れる。良いこと尽くめのこの木ですが、

小さめですが棘がある事と、
沢山成る実が落ちやすいので、植える場所には注意が必要です。
ブロカントの事務所では道路に面したところに植えてあるため、実の時期になると道路の掃除が必須となります。

あと、全体的に病虫害は少ないですが、実は熟すほど虫が入りやすいので、収穫は虫との追いかけっことなります。

ですが、そんないくつかの注意点があっても、どんどんお勧めしたい。
お庭にあれば、さまざまな楽しみを与えてくれる。そんな植木です。

kensuke-watanabe

Data

植物名
ナツメ
学名
Ziziphus jujuba
他の名前・俗称
大棗シナナツメ
区分
落葉
参考サイズ
3~6m

BROCANTE事務所の様子。写真左側がナツメ。(8月下旬横浜市)
成り始めた青い実がまた明るい印象。(8月下旬横浜市)
まだ緑の葉に赤い実が映えます。(10月初旬、横浜市)
葉も黄色く紅葉するが、落葉は早め。(10月下旬、横浜市)
皺が深くよる幹肌(11月下旬、横浜市)

Ziziphus jujuba

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植物図鑑について

お庭と生活のお話をさせていただく上で、パートナーともいえる植物たちの事を、私たちなりに感じるそれぞれの良さや、付き合う上で知っておくとよさそうなこと等、観察の記録的な情報も交えながら紹介しています。

題名(植物名)
日本において一般的に用いられている名称です。他にも一般的な名称や俗称、学名の読み音の違いなどある場合は別途記載してます。
キャッチフレーズ
植物の名前は一回聞いて音では認識できてもどういうものか想像しずらいものが多いです。故に覚えずらくもあります。そこで、私たちなりにこの植物を表現する言葉を出来るだけ多くの人がイメージしやすいものと結び付けてあらわそうと試みています。昔の洋楽についていた邦題のような感じで、時には恥ずかしくなるようなダサさも漂いそうですが、何はともあれ興味を持っていただくきっかけとなれば良しと思っています。
学名
植物の中には呼び名が様々あったり、名称が重なったりするものがあるので、誤解を避けるため、どの植物を指しているかの基準とするため記載しています。
区分
東京近辺で見受けられる傾向として、季節によって葉がなくなるか無くならないか大まかな傾向を表記しています。なので学術的な表記とは異なり、あくまでも実用上の目安とするための独自の情報とご理解いただければと思います。
参考サイズ
植栽をしたときに、植物の魅力を感じられる又は剪定を行いながら無理なく管理できるお勧めのサイズ感を表記しています。