早春の林に灯る。

バイモ

立ち上がる茎にいくつも釣り下がるチューリップのような花がランタンを思わせ、先がくるりとカールする細い葉とあいまって、おとぎの国を思わせるような不思議な雰囲気を醸し出します。

園芸店などでも球根(鱗茎)などで見かけることも多いフリチラリアの仲間で、中国原産の種です。
花の形からも推測されるように、フリチラリアの仲間は同じユリ科のチューリップに近い関係にあると言われています。

東京周辺では早春のまだ枯草の目立つ時期に地下の鱗茎から芽を出し、3月頃にはライムグリーンがかった白い花を咲かせます。

秋の時期になると、来るべき春に備え園芸店などでは多くの球根(鱗茎)が並びますが、春らしくチューリップやヒヤシンス、ムスカリなど明るく鮮やかな色味のものも良いのですが、個人的にはちょっとアンニュイ感漂うような色味の多いのフリチラリアの仲間にいつも心惹かれます。
しかしながら、高温多湿の日本の気候には合わないものも多く、経験からも1度咲かせるきりで何年にもわたって咲かせることは難しいイメージがあったりしますが、このバイモは日本の気候にも適応し易いらしく、東京の周辺の路地でも何年もかけて株が大きくなったであろう姿をしばしば見かけます。
それらを観察していると、落葉樹の近く等夏には強い日差しが適度に避けられるような場所と、傾斜になって水はけのよいような場所に植えるとうまくケースが多いようです。

漢方薬としても鱗茎が用いられ、日本においても1724年(江戸時代)に渡来して以来、2000年頃まで薬用としての栽培栽培が続けられていたそうです。

kensuke-watanabe

Data

植物名
バイモ
学名
Fritillaria verticillata var. thunbergii
他の名前・俗称
バイモユリフリチラリアアミガサユリ
区分
落葉多年草

落葉樹のそばに咲く(東京都西部、3月下旬)
落葉樹のそばに咲く(東京都西部、3月下旬)
ヨーロッパ原産のmeleagris(4月上旬)

Fritillaria verticillata var. thunbergii

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植物図鑑について

お庭と生活のお話をさせていただく上で、パートナーともいえる植物たちの事を、私たちなりに感じるそれぞれの良さや、付き合う上で知っておくとよさそうなこと等、観察の記録的な情報も交えながら紹介しています。

題名(植物名)
日本において一般的に用いられている名称です。他にも一般的な名称や俗称、学名の読み音の違いなどある場合は別途記載してます。
キャッチフレーズ
植物の名前は一回聞いて音では認識できてもどういうものか想像しずらいものが多いです。故に覚えずらくもあります。そこで、私たちなりにこの植物を表現する言葉を出来るだけ多くの人がイメージしやすいものと結び付けてあらわそうと試みています。昔の洋楽についていた邦題のような感じで、時には恥ずかしくなるようなダサさも漂いそうですが、何はともあれ興味を持っていただくきっかけとなれば良しと思っています。
学名
植物の中には呼び名が様々あったり、名称が重なったりするものがあるので、誤解を避けるため、どの植物を指しているかの基準とするため記載しています。
区分
東京近辺で見受けられる傾向として、季節によって葉がなくなるか無くならないか大まかな傾向を表記しています。なので学術的な表記とは異なり、あくまでも実用上の目安とするための独自の情報とご理解いただければと思います。