かわいく見えて頭脳派

ヒトツバ

日本の西南部から東アジア全域にかけて自生するシダ植物。
名前の通り葉が一つ一つ独立した形で生え、独特のフォルムが愛らしさを感じさせます。
園芸植物としても根強い人気があり、斑入りや獅子葉などの変種も園芸店に出回っていたりします。

匍匐茎から細長い葉が一枚立ち上がり並ぶ姿が、ムーミンに出てくるニョロニョロみたいでかわいいなという第1印象でした。

数枚の葉のポット苗から、大き目の鉢に植え替えると、1年程で葉がみっちりと込み合うほどに増え、匍匐茎が鉢からこぼれ出してくるような形となる程、繁殖力も旺盛です。

岩や、樹皮に着生しながら自生する種だけあって、乾燥にも強く、一旦カラカラに乾くようなことがあると葉を巻いて一見枯れたような見た目になりますが、水をやるとに元通りになります。
乾燥をしのぐ特性が逞しいです。

檜皮葺の屋根にも着生して、旺盛に繁殖していたりします。
一般的なシダの生育環境とはイメージが違いますが、ある程度の日当たりにも対応してくれます。

江戸時代から園芸植物として人気で、繁殖の過程で偶然生まれる、獅子葉(縮れたように変形したもの)などの変形種を愉しむことが流行したそうです。

土に植えても繁殖するので、庭植えも可能です。
日陰でも育ちますが、日当たりがある方が密に、日陰では間隔が広くまばらな増え方をします。
お互いの密度で日の当たる量を調整しているためと思われます。

この植物を見ていると環境に適応する巧みさに感嘆します。

葉に栄養を貯めているので、株分けなどは数枚の葉を待たせて匍匐茎を切り取るとよいです。

kensuke-watanabe

Data

植物名
ヒトツバ
学名
Pyrrosia lingua
他の名前・俗称
japanese felt ferntougue fernビロウドシダ
区分
常緑多年草
参考サイズ
0.2m

鉢植の株、放っておくとドンドン密生してくる。(5月中旬、神奈川県北西部)
ソーラスが密集しフェルト状に。(5月中旬、神奈川県北西部)
岩に着生している。(10月中旬、高知県)
檜皮葺の屋根に着生する(1月下旬、三重県)
ノコギリ葉の品種(5月中旬、神奈川県北東部)
近縁種のイワオモダカpyrrosia hastata
日陰に地植えしている個体。少しずつ増えていっているが、密度がまばら(6月上旬、東京都23区)

Pyrrosia lingua

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植物図鑑について

お庭と生活のお話をさせていただく上で、パートナーともいえる植物たちの事を、私たちなりに感じるそれぞれの良さや、付き合う上で知っておくとよさそうなこと等、観察の記録的な情報も交えながら紹介しています。

題名(植物名)
日本において一般的に用いられている名称です。他にも一般的な名称や俗称、学名の読み音の違いなどある場合は別途記載してます。
キャッチフレーズ
植物の名前は一回聞いて音では認識できてもどういうものか想像しずらいものが多いです。故に覚えずらくもあります。そこで、私たちなりにこの植物を表現する言葉を出来るだけ多くの人がイメージしやすいものと結び付けてあらわそうと試みています。昔の洋楽についていた邦題のような感じで、時には恥ずかしくなるようなダサさも漂いそうですが、何はともあれ興味を持っていただくきっかけとなれば良しと思っています。
学名
植物の中には呼び名が様々あったり、名称が重なったりするものがあるので、誤解を避けるため、どの植物を指しているかの基準とするため記載しています。
区分
東京近辺で見受けられる傾向として、季節によって葉がなくなるか無くならないか大まかな傾向を表記しています。なので学術的な表記とは異なり、あくまでも実用上の目安とするための独自の情報とご理解いただければと思います。
参考サイズ
植栽をしたときに、植物の魅力を感じられる又は剪定を行いながら無理なく管理できるお勧めのサイズ感を表記しています。