アスファルトに咲く可憐
スミレ
幼稚園に通っていたころ’すみれ組’だった私にとっては、なじみ深いこの音。その他にもお店などの商標や人の名前等様々に私たちの生活に溶け込んでいます。
その実物は意外ともいえるほど私たちの生活のそばで、誰が意図するわけでもなく咲いています。
それでも、いわゆる雑草というには余りにも可憐で、出会うと親しみ深い音のイメージと結びつきながら、それに遜色のない実態を垣間見せてくれる特別な存在という気がします。
世界中にに多くの品種が存在し、その中でも日本においては世界一の数が自生するといわれるスミレの仲間。
一般的にはそれらを総じてスミレと呼ぶことが多いですが、狭義にスミレというとこの種’Viola mandshurica’の事になります。
その区別を分かりやすくするために’マンジュリカ’と呼ばれることもあります。
都市部や住宅地の周辺ではあまり見かけられないタチツボスミレ等と逆に、アスファルトやコンクリートの際などの日当たりのよいところに逞しく咲いているのをよく見かけます。
スミレの繁殖には自然の妙ともいうべき流れがあり、その中で蟻が重要な役割を果たします。
可憐な花を咲かせた後に閉鎖花と言われる花弁のない自家受粉を行う花を着け、その花が成熟すると種を周辺へ弾き飛ばします。
そのはじけ飛ぶ距離は1mを優に越すともいわれていまが、その種にはエライオソームという蟻の好む物質が付着しており、それを食料とするために蟻が種もろとも巣まで運んで行きます。その結果さらに遠くへ種が運ばれるわけです。
よくよく考えてみると、随分とタフな感じがするアスファルトの隙間なども、蟻の巣や通り道になっているような場所と重なっている気がして、そんなところに咲いているのも合点が行きます。
このマンジュリカのほかにも都市部のコンクリートなどの場所に見られるスミレの仲間は、ノジスミレ、ヒメスミレ、コスミレ等多くあり、いずれもよく似ているので、繁殖の仕組みと相まって、多くの逞しくも可憐なすみれの花の姿を私たちの生活のそばで披露してくれています。
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Data
- 植物名
- スミレ
- 学名
- Viola mandshurica
- 他の名前・俗称
- マンジュリカ
- 区分
- 落葉多年草
- 参考サイズ
- 15㎝