カンカン照りでも涼し気

セイヨウニンジンボク

意外と困る真夏の日差しの強い場所への植栽。
そんな課題にも涼しい顔で答えてくれる頼もしい存在です。
細い葉を茂らせ風に揺れる姿は真夏の庭に涼を与えてくれます。

初夏に立ち上がる青紫色の穂状の花序は、草原に生えている草花を思わせる風情。ナチュラルな雰囲気のお庭作りに持ってこいです。

花の後には実がなります。チェストベリーと呼ばれ女性のホルモンに作用するメディカルハーブとして利用されたりもします。ハーブとして利用されるのは主に実の方ですが、葉にも清涼感のある爽やかな香りが漂います。

2m程の高さまでは全体的にこんもりとした樹形になりますが、樹高が高くなってくるとしっかりした幹が出来てシンボルツリーのような使い方もできます。

最終樹高はそれ程高くはなりませんが、萌芽力は旺盛であっという間にもっさりとなってくるので、大きさを保つ場合は落葉期に大体の樹形を想定して、太い枝だけ残し大胆に剪定をしてしまいます。

原産は西アジアから南ヨーロッパにかけて。名前の由来は近縁種で中国原産の”ニンジンボク”にちなみ、その名の中の”ニンジン”は葉が朝鮮ニンジンに似ていることから来ているそうです。

花の色は青紫に他に白色のものも出回っています。
その他にも、葉に深い切れ込みのある中国原産の種で、中国ニンジンボクとか切れ葉ニンジンボクなどの名で出回っているものも最近よく見かけます。
花は控えめですが、葉が細くより涼やかな印象で、こちらもおすすめです。

kensuke-watanabe

Data

植物名
セイヨウニンジンボク
学名
Vitex agnus-castus L.
他の名前・俗称
チェストツリー
区分
落葉
参考サイズ
2~5m

通りに面した日当たりのよい場所(2018年7月上旬、神奈川県東部)
樹高が出てくるとシンボルツリー的な使い方も。(2018年9月上旬、東京23区臨海地域)
幹の動きも出やすく植栽に立体感を出しやすいです。(2018年9月上旬、東京23区臨海地域)
落葉後。枝の先に実が残っている。(2018年12月下旬、東京23区臨海地域)
通りに面した日当たりのよい場所(2016年7月中旬、東京都西部)
葉に深い切れ込みのある種の切れ葉ニンジンボクVitex negundo var. heterophylla(7月中旬、東京都23区)
西洋ニンジンボクとニンジンボクの中間的な特徴を持つクサニンジンボクVitex negundo var. incisa(10月中旬、高知県)

Vitex agnus-castus L.

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植物図鑑について

お庭と生活のお話をさせていただく上で、パートナーともいえる植物たちの事を、私たちなりに感じるそれぞれの良さや、付き合う上で知っておくとよさそうなこと等、観察の記録的な情報も交えながら紹介しています。

題名(植物名)
日本において一般的に用いられている名称です。他にも一般的な名称や俗称、学名の読み音の違いなどある場合は別途記載してます。
キャッチフレーズ
植物の名前は一回聞いて音では認識できてもどういうものか想像しずらいものが多いです。故に覚えずらくもあります。そこで、私たちなりにこの植物を表現する言葉を出来るだけ多くの人がイメージしやすいものと結び付けてあらわそうと試みています。昔の洋楽についていた邦題のような感じで、時には恥ずかしくなるようなダサさも漂いそうですが、何はともあれ興味を持っていただくきっかけとなれば良しと思っています。
学名
植物の中には呼び名が様々あったり、名称が重なったりするものがあるので、誤解を避けるため、どの植物を指しているかの基準とするため記載しています。
区分
東京近辺で見受けられる傾向として、季節によって葉がなくなるか無くならないか大まかな傾向を表記しています。なので学術的な表記とは異なり、あくまでも実用上の目安とするための独自の情報とご理解いただければと思います。
参考サイズ
植栽をしたときに、植物の魅力を感じられる又は剪定を行いながら無理なく管理できるお勧めのサイズ感を表記しています。