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お庭や外構の【メインツリー】選び・管理しやすい おすすめ樹木7選

大きなお庭があるお宅はもちろん、家の外まわりにあるちょっとしたスペースでも、植物を植えたいなぁと思っている方、多いのではないでしょうか。
しかし、どんな植物が良いのか、あれこれ見たり考えたりしてみるものの、いざ選ぶとなるとなかなか勇気がいりますよね。植物は育っていくもので、ペットと同じように長く生活を共にするもの。とくにメインとなるような、それなりの大きさになる植物を選ぶとなると、なおさらです。

そこで今回は、Seedingのガーデナーがお庭や外構の【メインツリー】におすすめする、管理しやすい樹木をご紹介します。どんな風に植物を選んでいるのか、簡単なポイントもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみていただけたらと思います。

お庭や外構の【メインツリー】とは

Seedingでは、お庭や外構部分で主になる樹木=【メインツリー】と定義しています。1つのエリア内で主木になるもの、という意味で、お庭の中でも何ヵ所かコーナー的なスペースがあれば、各所にメインツリーを入れる、ということになります。

例えば車1台分程度の庭があり、玄関前にも植込みスペースが少しあるようなお宅では、2~4本程度のメインツリーを取り入れることが多いです。

エントランスを彩る植栽帯。元々植えられていたモミジ(左)を移植し、実が楽しめるザクロ(右)を新たに植えた。オレンジ色の可愛い花が咲いている5月頃の様子。

一般的にシンボルツリーと言われるものにも近いですが、シンボルツリーはお庭や外構の中でシンボル的になるもので、何本も取り入れないかと思います。メインツリーの場合は必ずしもシンボル的ではなく、一つのコーナーでは目立っている、主になっているというイメージです。

ガーデナーの【メインツリー】の選び方

メインツリーに限らずですが、植物を選ぶ際にはまず、要望や目的を押さえておくことがポイントです。お庭や外構のご相談を受ける中で、家の外まわりに取り入れる植物への要望や目的のほとんどは、以下の4つに集約されます。

1.四季の変化を感じたい
2.花や実が楽しめる
3.できるだけ手がかからない
4.目隠しになり、通年緑を楽しめる

中でも、程度の差はありますが「3.できるだけ手がかからない」の要望が一番多いです。" 落ち葉問題 " の無い、常緑性の植物が人気な理由もここにあります。この4つ以外にも、それぞれのお宅の状況によって細かな要望があると思いますが、重要視したい項目やメンテナンスにかけられる時間などをある程度明確にしておくと、植物が選びやすくなります。

「2.花や実も楽しめる」に当てはまるフェイジョアも 、メインツリーとしておすすめする機会の多い樹木。木から自然に落下したタイミングが食べ頃の果実は甘い香りのトロピカルな味わい。

要望や目的をふまえた上で、次に立地条件や植物の樹高、性質などで分類しながら候補になる植物を考えていきます。このあたりになると、植物についての知識や経験がある程度必要にはなってきますので、ご参考までに。

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・<立地条件>春~秋の生育期の日照時間
日当たり(4時間以上)/半日陰(半日程度2~4時間)/日陰(2時間未満)

・<樹高サイズ> 大:3~5mで維持/中:2~3.5mで維持/小:1.5~2.5mで維持

・<植物の性質>常緑/落葉、耐寒性はどの程度か等

葉をこするとレモンのような香りがする、レモンマートル。常緑でそれほど大きくならず、開花には適度な日照が必要ですが日陰でも育つので、活用の幅も広い植物。Seeding自由が丘の店舗でも7年程度地植えで育っており、ほとんど剪定していないが2m強のサイズ感で維持できている。

目的や要望にあう植物を選んでいくことで、せっかく植えた植物が「大きくなりすぎてしまった」「環境が合わず枯れてしまった」「思ったよりメンテナンスに手がかかり大変」などの困り事や悲しい事態になることを避けられます。植えてから後悔しないためにも、参考にしていただけたらと思います。

管理しやすい【メインツリー】におすすめの樹木

それでは実際に、Seedingのガーデンスタッフに聞いた【メインツリー】におすすめの植物の中から、いくつかピックアップしてご紹介します。できるだけ手がかからない、というご要望が一番多いので今回は 樹高を2~3.5m程度で維持できる、管理がしやすい樹木 を中心にご紹介します。
 

常緑性の樹木


①カリステモン ピンクシャンパン(日当たり向き)

オージープランツらしいブラシ状の花が特徴的なカリステモン ピンクシャンパン。ピンク~クリーム色に変化する優しい花色で、花期も長く楽しめます。耐暑性、耐潮性があり、生長もそれほど早くなく、目立った病虫害もありません。

シェアハウスのエントランスを彩るカリステモン ピンクシャンパン。花期が長く5月~7月にかけて咲き続ける。花色も白からピンクと時期によって濃淡があり、変化も楽しめる。

同じような立地条件やサイズでは、レモンやナツミカンなどの柑橘系、フェイジョアなどもおすすめです。

 

②シルバーティーツリー(日当たり~半日陰向き)

優しくしなやかな雰囲気のシルバーティーツリーは、Seedingの定番人気樹木の1つです。丈夫で成長はゆったり、目立った病虫害もなく、同じシルバー系のオリーブやユーカリに比べて手間がかかりません。

中庭に植えたシルバーティーツリー。ウィーピングティーツリーとも呼ばれ、枝が細く垂れやすいので場所によっては根付くまで支柱が必要だが、枝葉が密にならないため柔らかい雰囲気を維持でき、剪定もしやすい。

 


③タイサンボク リトルジェム(日当たり~半日陰向き)

タイサンボクの矮性品種リトルジェムは、モクレンの仲間らしい純白の大きな花はもちろん、表は艶やかな深緑、裏はビロードの質感を帯びたブロンズ色の葉もとても魅力的。伸びすぎた枝を詰める程度で、管理もしやすいです。

Seeding 横浜のオフィスにも植えているリトルジェム。成長が緩やかで伸びすぎた枝を詰める程度で、他の樹木と比べ剪定の頻度が非常に少なくて済む。初夏に手のひら大の香りのよい花をつけ、下枝にも花がつきやすい。

同じような立地条件やサイズでは、レプトスペルマム カッパーグロー、レモンティーツリーなどもおすすめです。

 

④トキワエゴノキ(半日陰~日陰向き)

エゴノキというと落葉樹のイメージですが、トキワエゴノキは常緑で、光沢感のある葉と初夏に咲く芳香のある白い花が特徴的です。秋~冬に寒さに当たると紅葉します。耐陰性があり、直立性で狭いスペースにも向いています。

トキワエゴノキは落葉のエゴノキとは別属になり、中国、東南アジア原産のためやや寒さに弱いが、関東以西では地植えもできる。生育も落葉種に比べて遅く、強い枝も出にくいため、まとまった樹形を維持できる。初夏に白い下向きの花を咲かせ、樹皮も光沢のある褐色になり美しい。寒さが厳しいと葉を落とす。

 

⑤ソヨゴ(半日陰~日陰向き)

縁が波打つ美しい緑の葉で、明るい雰囲気のソヨゴ。雌雄異株で、小さな白い花を咲かせた後、雌木には可愛らしい赤い実がなります。耐陰性があり日陰でも育ってくれるため、幅広く活用できます。

ソヨゴという名は、葉が密にならずそよぐことからつけられた名前だが、目立った病虫害もなく丈夫で生育が緩やか、耐陰性も非常に高いため、日陰のスペースには定番の存在。樹形を選べば和洋問わず活躍する。

 
 

落葉性の樹木


⑥ビバーナム ステリーレ(日当たり向き)

四季咲き性で、オオデマリに似たアジサイくらいの大きさの花を咲かせるビバーナム ステリーレ。咲き始めは淡い緑~咲き進むにつれ白く変化していきます。花はもちろん、丈夫で育てやすいところもおすすめポイントです。

中国原産の落葉低木、ビバーナム ステリーレ。株が小さいうちから新芽と共に4月頃に手毬状の大きな花をつける。近縁種のオオデマリと比べてコンパクトに管理できるが、放任すると3.5m程度まで伸 びるので、小さく管理したい場合は花後すぐに詰めると良い。日当たりが悪いと花付きが悪くなる。

 

⑦ホソバニンジンボク(日当たり向き)

細く切れ込みが深い葉、可憐な花を咲かせるホソバニンジンボク。株全体の線が華奢で葉も密にならず、繊細で柔らかな印象です。ニンジンボクの中ではサイズも小ぶりで、狭いスペースでも活躍してくれます。

アパレルショップのファサードに植えた、ホソバニンジンボク。初夏~夏にかけてセイヨウニンジンボクよりも小さい薄紫色の花を次々と咲かせる。他の同属種と同じように枝葉を切ると芳香がある。刈り込むともっさりするので、込み入ってきたら枝を抜くように剪定すると良い。目立った病虫害もなく育てやすい。

共に快適な環境で【メインツリー】を楽しもう

今回は、管理しやすい樹木にフォーカスして【メインツリー】におすすめの植物をご紹介しましたが、それぞれのお宅に適した植物を検討するには、他にも様々な要素が考えられますし、魅力ある植物はこれ以外にも本当にたくさんあります。

例えば、アカシア、ユーカリ、オリーブなどは樹木としての魅力が非常に高くおすすめしたい植物ですし、一般的な庭木だと樹高を3~5m程度で維持する大きめの樹木も多いのですが、今回は管理面の観点から、どちらも敢えて選んでいません。また、樹木にも流行があるので、近年の需要感や傾向を考慮して選んでいます。

上記のような植物、より細かな条件別でのおすすめ植物等は、また別の機会にご紹介できればと思います。

共に長く暮らす存在だからこそ、お互いに快適に暮らせる環境で、さらに樹木の魅力も楽しめるのが一番良いですよね。ご自宅まわりやお庭、外構部分にメインツリーを選ぶ際の、ちょっとした手掛かりにしていただけたら嬉しいです。

 
 
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