生活の蔓

アケビ

日本の山野に自生するつる植物。その果実が秋の風物詩的に味覚や視覚を楽しませてくれる他、蔓や葉が漢方や編み細工として利用されるなど、昔から様々な形で生活に溶け混んできました。

卵型の葉が人の手のひらのような形で付き、春に咲く小さく丸っこい花も緑味の混じった独特の柔らかさのある紫色で、目を引きます。
全体的に可愛らしい印象で、庭で愛でる植物としても魅力十分です。

秋になると熟れる果実が甘く、子供のおやつ代わりとされていたそうです。自生個体のみかけられない平野部の住宅街で育った私にとっては、ちょっとした憧れの存在でした。

活用される部位や方法は、各地方によっても異なり、多岐に渡ります。

新潟県や長野県では早春の新芽を「木の芽」と呼び、ひたし物やみそ汁の具として、
兵庫県の宍粟市辺りでは「でんでん茶」と呼び新芽や茎、花を茶の葉のように加工し飲用されているそうです。

青森県では果実だけでなく果皮をみそ焼きで食したりも。
また、蔓を編んで農作業に使うカゴを作ったりるところから工芸が産まれ、その技術でバックや花挿しなど様々な製品が作られ、丈夫で機能性とおしゃれ心も満たす生活の道具として全国で親しまれてきました。

漢方としても扱われ、「木通」と呼び木質化した蔓部分が利尿や頭痛に効能のある生薬とされます。

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同じ科の常緑性のムベよりも繁殖力が旺盛なので、庭に植える場合は大きなパーゴラや広いフェンスに誘引してあげたいです。

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Data

植物名
アケビ
学名
akebia
他の名前・俗称
木通
区分
落葉
参考サイズ
3~6m

民家のウッドフェンスにつたう(4月中旬、埼玉県南西部)
民家の金網につたう(4月上旬、千葉県西北部)
収穫された熟れた果実。果皮の割れ目から白い果実が見える。
でんでん茶材料収穫の様子
火入れ、蒸した後天日干しをして作られる。
あけびの蔓で作られた鍋敷き

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植物図鑑について

お庭と生活のお話をさせていただく上で、パートナーともいえる植物たちの事を、私たちなりに感じるそれぞれの良さや、付き合う上で知っておくとよさそうなこと等、観察の記録的な情報も交えながら紹介しています。

題名(植物名)
日本において一般的に用いられている名称です。他にも一般的な名称や俗称、学名の読み音の違いなどある場合は別途記載してます。
キャッチフレーズ
植物の名前は一回聞いて音では認識できてもどういうものか想像しずらいものが多いです。故に覚えずらくもあります。そこで、私たちなりにこの植物を表現する言葉を出来るだけ多くの人がイメージしやすいものと結び付けてあらわそうと試みています。昔の洋楽についていた邦題のような感じで、時には恥ずかしくなるようなダサさも漂いそうですが、何はともあれ興味を持っていただくきっかけとなれば良しと思っています。
学名
植物の中には呼び名が様々あったり、名称が重なったりするものがあるので、誤解を避けるため、どの植物を指しているかの基準とするため記載しています。
区分
東京近辺で見受けられる傾向として、季節によって葉がなくなるか無くならないか大まかな傾向を表記しています。なので学術的な表記とは異なり、あくまでも実用上の目安とするための独自の情報とご理解いただければと思います。
参考サイズ
植栽をしたときに、植物の魅力を感じられる又は剪定を行いながら無理なく管理できるお勧めのサイズ感を表記しています。