本命は後からやってくる。

アベリア シネンシス

強健な性質から街路樹などでもお馴染みのアベリア。よく見かけるものは常緑のものですが、このシネンシスは落葉性。
冬に葉がなくなってしまうことは、少し寂しい気もしますが、それを補って余りあると言って良い程、常緑種とはまた違った魅力があるように思います。

常緑種の物より葉色が明るく質感も柔らかめです。
花もアベリア特有の白い花が良く付くので楽しめますが、個人的にはその花が終わった頃からがこのシネンシスの本命ともいえる気がします。
緑の混じった薄ピンク色の萼(がく)と呼ばれる部分が、きれいなてまり状の花のようになります。その部分は色味の持ちよく、秋にかけて次第に濃くなってゆき、そのまま冬にかけてドライになってゆく姿も楽しめるのです。

夏場にかけて花を咲かせる低木としても魅力的なアベリアですが、常緑種のアベリアはあまりにもお馴染みすぎるせいか、最近ではお庭に意識して植えることは少なくなってきています。
一方、シネンシスはブロカントの施工するお庭でもここ数年で登場回数がグッと増えてきています。
もともとは、シネンシスの方が常緑品種を交配作出する際の親種との事で、よくある1周まわって新しくなるといった状態とも言えますし、結局はあまり人の都合に左右されず、ありのままが美しいという事なのかもしれません。
因みに”シネンシス”というのは”中国の”といった意味合いで、中国に自生する原種のようです。

陽の陰りがちな場所から、日向まで育てやすいことも大きな魅力です。

成長は早めですが、落葉期に強めに剪定しておくことでコンパクトに維持することもできるので、場所も選ばず植栽に見どころを与えてくれる、庭木としてもとても優秀な樹木です。

kensuke-watanabe

Data

植物名
アベリア シネンシス
学名
Abelia chinensis
他の名前・俗称
チャイニーズアベリア
区分
落葉
参考サイズ
1~2m

花が咲き終えて萼があらわになり始めている。(8月中旬、神奈川県北東部)
春から夏にかけて陰りがちな場所でもちゃんと花をつけている。(9月下旬、神奈川県北東部)
秋にかけて赤味が深くなる。(10月下旬、神奈川県北東部)
高さは2m程にもなる。これくらいになるとコーナーのフォーカルポイントにもなる。(9月下旬、静岡県西部)

Abelia chinensis

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植物図鑑について

お庭と生活のお話をさせていただく上で、パートナーともいえる植物たちの事を、私たちなりに感じるそれぞれの良さや、付き合う上で知っておくとよさそうなこと等、観察の記録的な情報も交えながら紹介しています。

題名(植物名)
日本において一般的に用いられている名称です。他にも一般的な名称や俗称、学名の読み音の違いなどある場合は別途記載してます。
キャッチフレーズ
植物の名前は一回聞いて音では認識できてもどういうものか想像しずらいものが多いです。故に覚えずらくもあります。そこで、私たちなりにこの植物を表現する言葉を出来るだけ多くの人がイメージしやすいものと結び付けてあらわそうと試みています。昔の洋楽についていた邦題のような感じで、時には恥ずかしくなるようなダサさも漂いそうですが、何はともあれ興味を持っていただくきっかけとなれば良しと思っています。
学名
植物の中には呼び名が様々あったり、名称が重なったりするものがあるので、誤解を避けるため、どの植物を指しているかの基準とするため記載しています。
区分
東京近辺で見受けられる傾向として、季節によって葉がなくなるか無くならないか大まかな傾向を表記しています。なので学術的な表記とは異なり、あくまでも実用上の目安とするための独自の情報とご理解いただければと思います。
参考サイズ
植栽をしたときに、植物の魅力を感じられる又は剪定を行いながら無理なく管理できるお勧めのサイズ感を表記しています。