気付けばそこにある春。

ミチタネツケバナ

春の早い時期、冬の間風や日光にさらされ乾燥し少し硬くなった様な土の表面から細い線を立ち上げ、その存在に気が付く頃には先端に小さな白い花が咲いています。

まだ寒さの厳しい時期、中々外に出る気になれず放置気味の鉢植等があると、気が付けば本来育成している植物と共に、時にはその植物に成り代わって、いつの間にかそこ居るこの草。

よくよく見てみるとアスファルトの隙間や、乾燥気味の土場など、春の早い時期、オオイヌノフグリやヒメオドリコソウなど代表的なものが生えないようなところにひっそりと生えています。

ヨーロッパ原産の帰化植物で、近縁で日本在来種のタネツケバナが水田など湿地で育つのに対して、乾燥に強く都市部などの道端でも見かけられることからこの名になったといわれています。

タネツケバナという名前は日本の稲作事情を反映しており、稲作をする際に種籾の発芽をよくするために水につけて置く作業をする’種漬け’時期にこの花が見られることが名前の由来となったとのこと。このミチタネツケバナはそれよりも早い時期に花を咲かせます。

春にもなり切らない早い時期に花を咲かせ、種をつけ、その後春夏秋とほかの植物が生い茂る期間を種で過ごし、冬の厳しさの抜けきらぬうちに芽吹く。
そんなライフサイクルが都会の鉢植えの土とも会っていたのでしょうか。

そのような事を考えていると、怠けの形として私にとっては後ろめたいようなこの草も、やはり理由があり咲いているのだと思い至り、せめて春になるまではと、すぐに抜かず少し愛でているのも良いなという気がしてきます。

kensuke-watanabe

Data

植物名
ミチタネツケバナ
学名
Cardamine hirsuta
区分
1年草
参考サイズ
30㎝

(3月上旬、神奈川県北東部)
(3月下旬、神奈川県北東部)
日本在来種のタネツケバナcardamine flexuosa With(東京都西部、4月中旬)

Cardamine hirsuta

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植物図鑑について

お庭と生活のお話をさせていただく上で、パートナーともいえる植物たちの事を、私たちなりに感じるそれぞれの良さや、付き合う上で知っておくとよさそうなこと等、観察の記録的な情報も交えながら紹介しています。

題名(植物名)
日本において一般的に用いられている名称です。他にも一般的な名称や俗称、学名の読み音の違いなどある場合は別途記載してます。
キャッチフレーズ
植物の名前は一回聞いて音では認識できてもどういうものか想像しずらいものが多いです。故に覚えずらくもあります。そこで、私たちなりにこの植物を表現する言葉を出来るだけ多くの人がイメージしやすいものと結び付けてあらわそうと試みています。昔の洋楽についていた邦題のような感じで、時には恥ずかしくなるようなダサさも漂いそうですが、何はともあれ興味を持っていただくきっかけとなれば良しと思っています。
学名
植物の中には呼び名が様々あったり、名称が重なったりするものがあるので、誤解を避けるため、どの植物を指しているかの基準とするため記載しています。
区分
東京近辺で見受けられる傾向として、季節によって葉がなくなるか無くならないか大まかな傾向を表記しています。なので学術的な表記とは異なり、あくまでも実用上の目安とするための独自の情報とご理解いただければと思います。
参考サイズ
植栽をしたときに、植物の魅力を感じられる又は剪定を行いながら無理なく管理できるお勧めのサイズ感を表記しています。