爽やかスパイシー
クロモジ
日本に古くから自生するクスノキ科の落葉低木。庭木としても山の木を多用するような野趣のある庭に用いられ、
生活の中でも和菓子に添えられる楊枝の素材等として親しまれてきました。
新芽が出る姿に繊細な美しさが感じられる以外、花は地味で葉が出揃ってしまえば全体的に特徴的な所もなくバサッとした感じがし、正直なところ外見的に特筆するような魅力が少ない感じですが、
枝葉を指や爪でこすり匂いをかいでみると、一気にこの木が特別に思えるようになります。
何とも言えない爽やかな香りがするのです。クスノキ科植物の独特のそれに加え、柑橘やミントなどにも似た芳香も感じさせます。
殺菌作用もあるといわれ、香りのよさと相まって、お菓子を切り分け口に運ぶ道具として、茶道などおもてなしの席に重宝されたようです。
島根県の離島部に位置する海士町では、クロモジの枝・葉を煎じて飲用する風習があり。
ふくぎ茶という名前で特産物として販売もされています。
このお茶は、ピンク色の見た目と、ミントのようなスッと抜ける清涼感とさらにスパイシーな香りが相まって、和の雰囲気というよりはむしろ、ハーブやスパイスティーといった異国を感じさせる味わいがします。
渋みや苦みも無く、しっかりとした旨味もあり、とても美味しいです。
カフェインも含まないので、気にされる方にもおすすめです。
植木としても、成長は緩やかでコンパクトなサイズ感で、背は3m近くになることもありますが、あまり幅は取らないので、管理がしやすいです。
春の新芽と、香りの愉しみに庭の傍らに植えて置くと、楽しい庭づくりに一役買ってくれると思います。
ただ、暑さにはあまり強くないようで、日当たりの強いところで枝枯れを起こしてしまっていることをしばしば見かけます。
風通しの良い半日陰のような場所を選んであげるとよいでしょう。
土壌もどちらかというと粘土質のような水持ちのよい土壌で元気に育っています。
Data
- 植物名
- クロモジ
- 学名
- Lindera umbellata
- 他の名前・俗称
- ふくぎ
- 区分
- 落葉低木
- 参考サイズ
- 1m~2.5m