Garden

プロが現場で選ぶ下草とは? お庭や植栽を支える定番下草11選

メインツリーなどの庭木の株元や植栽帯、私達の足元~腰高くらいの空間で、ボリュームや彩りを担ってくれている下草(したくさ)。

どちらかというと大きな樹木や歩いている目線にある植物に目が行きがちですが、皆さんの視界にもなにげに映り込んでいるのではと思います。下草には低木類や草本類、地被類などを使いますが、実際にお庭や植栽をつくっているガーデナーは、多種多様な植物の中からどんな種類を選んで取り入れているのでしょうか。

BROCANTEのガーデンスタッフに最近の傾向なども聞きながら、実際に使っている植物や施工例をピックアップしてみましたので、よろしければご参考までに。

流行りの「軽やかさ」の演出は細葉、グラス類が中心

近年は下草に '軽さ' を求める傾向があり、パリの新設された公園や韓国ソウルのおしゃれエリアの店舗植栽などでも、グラス類の植物が多用されているのを見かけます。

2025年に開園したフランス パリ4区の公園の様子。常緑、落葉グラス類のミックスで構成されている。

BROCANTEが手掛けるお庭や植栽の施工でも、細葉の単子葉類、中でも葉が特に細いグラス類を基本にして、葉のバリエーションで下草を構成することも多いです。
そんな '軽さ' を象徴する定番の植物はやはり

①カレックス

とくに日本に自生しているオシメンセス系の改良品種・エヴァリロやエベレストなどは環境や土壌にも合いやすく丈夫で日陰にも耐えるので、よく使っています。細葉で葉色のバリエーションも多く、成長すると繊細な葉がふんわりと茂るので、ボリュームを出しながらも軽やかさを演出できます。

左はレモンの鉢植えの足元に植えられた ①カレックス エヴァリロ。ライムグリーンのような黄色みのある葉色が特徴的。右はカレックス エベレスト。白い斑入りの葉で、軽さがありながらも存在感あり。どちらもオシメンセス系の品種。
①カレックス フラゲリフェラ(flagellifera)の品種、ブロンズフォーム。ブロンズ・茶褐色系の品種もよく用いられる。

ただし、日当たりが強い場所や植えてから数年経った株は枯葉が目立って切り戻したり、株分けしないとボリュームが出すぎてしまうこともあるので、最初から密に植えないようにすると良いでしょう。カレックス以外に同じようなポイントになるものとして、細葉の単子葉植物

②ロマンドラ
③ディアネラ

などもよく取り入れます。ロマンドラはオーストラリア原産なので乾燥気味の環境が望ましいですが、比較的葉をきれいに保ちやすく、上に向かって直線的に伸びる葉が印象的です。グラウカやリトルライムなど、細葉の品種もあります。

写真中央が②ロマンドラの小型種リトルライム。まっすぐ伸びる細葉は植栽帯のアクセントにもなる。手前の青みのある葉は③ディアネラ ブルーストリーム。

ディアネラは、気温が下がると紫がかった色に変わるブレイズや青みの強いブルーストリームなど、少し太めで葉の色みに特徴のある品種が定番で、葉色で変化をつけたい時に重宝しています。

写真中央が③ディアネラ ブレイズ。細長い剣形の緑の葉が美しく、程よく足元を引き締めてくれる。寒さにあたると葉色が紫がかる。

同じディアネラでもケントリン、リトルレブなどは細葉タイプで、根付きが浅いと葉先が枯れたりはしますが、しっかり根付くと綺麗にこんもりと茂ってくれます。

③ディアネラ 左がリトルレブ、右がケントリン。どちらもディアネラの中では細めのシャープな葉をもつ。

特徴あるフォルムが活きる 長く親しまれるお庭の鉄板植物

グラス類のいかにも '草らしい' フォルムをした植物以外に、古くから日本のお庭で下草として親しまれている植物も、引き続きよく使っています。

④ツワブキ
⑤ベニシダ

などの常緑多年草は日本に自生しているため丈夫で日陰にも強く、頼れる存在です。和風なイメージが強いかもしれませんが、葉のフォルムが個性的なので植栽帯の中でポイントになってくれますし、他の植物との組み合わせ次第で洋風や近代的なイメージの建物にも合います。

既存であった④ツワブキを活かした植栽。丸い葉のフォルムが美しく際立つ。
左の写真手前は④ツワブキの斑入り品種、右は葉の大きなツワブキ ギガンティア。

ツワブキは、色濃く艶のある丸い葉がとてもキャッチーで、獅子葉や斑入り、通常よりも大きな葉の品種もあります。

ベニシダは「気がつけばそこにいる」というくらい、落葉樹の足元で冬時期に寂しくなりがちな緑のボリュームを下支えしてくれたり、植栽の裏手にあたる場所や日陰の隙間スペースでも、安定して活躍してくれます。

どちらもお庭や植栽の施工で使用頻度の高い植物です。

植栽エリアの足元から顔を出す⑤ベニシダ。常緑で四季を通して緑のボリュームを支えつつ、美しい葉姿を見せてくれる。

低木類ではブッシュ状や這性、矮性種が使いやすい

ここまで多年草の植物をご紹介してきましたが、低木類の植物を組み合わせて使うこともよくあります。低木類と聞くと樹木を思い浮かべるかもしれませんが、ブッシュ状に茂る

⑥ウエストリンギア

も低木類です。細かな葉で軽さもありますし、刈り込んでコンパクトに仕立てることもできて管理しやすく、ブロカントでは定番の植物となっています。

写真右下が⑥ウエストリンギア 斑入り種。細かな葉、色も明るめで柔らかな雰囲気。

また、以前はレンガを敷いた目地にグラス類や地被類の植物を加えるような地際の施工も多かったですが、最近は「低木類+グラス類」で、よりナチュラルに構成することも増えています。

⑦イソザンショウ

のように這性(匍匐性)のある植物を選べば、横に広がって生長するためグランドカバーのようになります。伸びてきたら切り戻して維持できるので、メンテナンスもしやすく安定して保ちやすいです。同じく這性のローズマリー、矮性種のトベラ ナナなども使っています。

玄関アプローチに植えられた、細かな濃い緑の葉が特徴的な⑦イソザンショウ。這うように広がりながら生い茂る。

花が魅力の植物で 下草も四季の楽しみに

下草にも花ものを取り入れると、季節の楽しみも増えますよね。とにかく人気なのが

⑧アジサイ アナベル

落葉低木ですが、優しい印象と華やかさを兼ね備えつつ、剪定も気にせず行えて管理しやすいため、登場回数が非常に多いです。

淡い緑~白のボリュームのある花房で人気の⑧アジサイ アナベル。旧枝咲きの日本在来のアジサイと異なり、当年に伸びた枝に花を咲かせる'新枝咲き'で、落葉期の剪定も可能。

花も楽しめる常緑多年草で、使いやすい下草としてお馴染みなのは

⑨アガパンサス
⑩ディエティス

どちらも玄関前やアプローチなどに取り入れられることの多い植物です。初夏~夏にかけて花を咲かせます。アガパンサスはサマーラブやポッピンパープルなどの矮性品種も、従来のアガパンサスほど大きくならず程よいサイズ感でおすすめです。ディエティスもピコロル(草丈1m程度)、イリディオイデス(草丈50~60cm)など品種により草丈が変わってきます。

(左)アオダモとエゴノキの間に植えられた⑨アガパンサス サマーラブ。(右)植栽の中でスラっと伸びて花を咲かせる⑩ディエティス。さりげなく咲く白花が程よく映える。

⑪クリスマスローズ

最後はド定番とも言えるお花ですが、寒さに強く冬~早春の花の少ない時期に咲いてくれますし、園芸品種がたくさんあり花色も豊富で選ぶ楽しさもあります。丈夫で、あまり日が当たらなくても花をつけてくれます。

⑪クリスマスローズ。冬に花を咲かせる常緑多年草で、花つきや花持ちも良く、冬のお庭や植栽を彩る貴重な存在。

まずは植えてみて様子を見る、でも大丈夫◎

今回はガーデンスタッフに直接話を聞きながら、これまでの経験や最近の傾向から重用している下草をご紹介しました。各個人によってお気に入りの下草や使い方は様々で、例えばあるスタッフは

・かわいらしい花のイメージが強いチェリーセージと、シャープな葉のロマンドラなどをあわせるとバランスが良い
・切り花を楽しみたい方には個性的な花のユーフォルビアなどもおすすめで、その場合は全体的にまとまりやすい品種を選ぶ

など、組み合わせや選び方のコツについて教えてくれたり、広い空間では「ある程度下草で空間を埋めたい」タイプと「あえて空間を作る」タイプに分かれるなど、植え方にも個性が出るようです。

あえて植物と植物の間に空間を作った植栽エリア。1つ1つの植物の枝葉やフォルムが際立つ。

下草に限らず植物全般に言えることではありますが、植える環境や経年によって植物がうまく適応できるか否かにもかなり差があり、植えてみないとわからない部分もあります。プロの施工であっても、植えてみて「ここがちょっと良くないな」という部分はどうしても出てくるので、そこを補ってくれそうな新しい品種があれば取り入れてみたり、他の植物に変えてみたりと、最適解を探りながらお庭や植栽をメンテナンスしていきます。

他にもまだまだ、下草に使える魅力的な植物はたくさんあります。迷ったら植えてみて、様子を見ながら考えるのも植物を育てる醍醐味かなと思います。道を歩いていてお気に入りの下草を見つけたら調べて、とりあえず取り入れてみるのも楽しいかもしれません。ご紹介した植物も、良かったら取り入れてみてくださいね。

 
 
【この記事でご紹介した植物】

Garden Design